角海老-ボクシングコラム

8・25田口良一vs井上尚弥について、日本LF級3位・大内淳雅に聞いてみた

大内淳雅  ロンドン五輪ミドル級金メダリスト村田諒太(三迫)のプロ転向初戦が行われる25日(日)、神奈川・スカイアリーナ座間では、注目の日本L・フライ級タイトルマッチ、チャンピオン田口良一(ワタナベ)vs挑戦者同級1位・井上尚弥(大橋)の幕も切って落とされる。  プロ4戦目の井上が日本王座を奪取すれば、平仲明信(沖縄、元WBA世界J・ウェルター級チャンピオン)、辰吉丈一郎(大阪帝拳、元WBC世界バンタム級チャンピオン)に並ぶ日本人史上3人目の最短記録。この一戦のメインキャストという役回りを井上が担っているのは、疑いようのない事実だろう。4月の佐野友樹(松田)戦の直後には、当コラムで「怪物たる所以」を綴らせてもらったように、能力の高さを認めない者はいない。だが、個人的には今回の井上の確勝という雰囲気にはどうにも違和感が拭えない。いくらなんでも、田口が過小評価されているのではないかと。  だから、田口の強さを誰よりも肌で知る男の見解を確かめたくなった。日本L・フライ級3位の大内淳雅(角海老宝石)。昨年9月、川崎市とどろきアリーナで当時の日本L・フライ級チャンピオン黒田雅之(川崎新田)に挑戦し、1-1のドローという泣くに泣けない結果を味わったが、田口vs井上の勝者に挑戦する権利を自らの拳で勝ち得るべく、今年の最強後楽園にエントリーし、10月19日に同級4位・堀川謙一(SFマキ)との決勝戦を控える大内にしばし練習の手を休めてもらい、ターゲットとなる王座を争う一戦について話を聞かせてもらった。  田口君と試合をしたのは、もう3年くらい前(2010年10月1日)になりますね。打たれたら打ち返してくるので、ついカッとなって、自分から打ち合いに出て行ったら、最後はボディで倒されてしまいました。あの頃はまだ、自分の心の弱さがあったと思います。  もちろん負けたのは悔しかったです。でも負けて言うのもおかしいけど、田口君との試合は本当に気持ちの良い試合で、初めて心の底から「負けた!」と思いました。どっちも気が強いから、打ちつ打たれつになったんですが、打ち合いをしながら楽しいという境地に達することができました。その後もスパーリングをしたり、麻生(興一、日本ウェルター級5位)君と仲が良いということもあって、この前の試合はチケットを買って見に来てくれたり、人間的にも凄く好青年って感じなんですよ。僕のタイトルマッチの前にもスパーリングをしてもらいました。またしても凄い打ち合いになりましたよ。大分打たれてしまいましたけど(苦笑)。  田口君の長所は打たれ強さ。良いパンチをヒットさせても、ケロッとしていて、パンチが効いているのかどうかが分からず、そうこうしている内に、田口君のプレッシャーに呑みこまれてしまいました。あと僕も良いのをもらってしまいましたが、ボディブローが凄く強いですね。  井上君とは手合わせしたことはなく、ビデオで見た印象になりますが、パンチも強く、スピードもあって、ディフェンスも素晴らしい。全てのレベルが高い、総合力に優れた選手ですね。井上君のスパーリングパートナーを務めたことのあるフラッシュ赤羽ジムの村中(優、WBA世界フライ級6位)選手とは僕もよくスパーリングをさせてもらっているんで、話を聞いたことがあるんですが、「自分たちとは次元が違う」と言っていたし、実際に僕も日本レベルに止まる選手じゃないと思います。田口君も何度か防衛を重ねて、弾みがついた状態にあったら、また違った見方になっていたと思うんですが、今回は初防衛戦。勝って欲しいのは田口君ですが、客観的に予想すると、井上君有利になるのかなと思います。  (嘗て田口は井上とスパーリングをした際、劣勢だったようですが、その経験は精神的にどう作用すると思うかという質問に対し)僕も7月1日の大塚(博之、現日本L・フライ級9位)選手との試合は正直、負けるんじゃないかという不安がありました。スパーリングで大分やられていたんです。10回くらいやって、勝敗をつけるならば、2勝8敗くらいでした。それもあって、大塚選手は日本ランカーで一番強いと思っていました。でもスパーリングでやられていた分、自分は上積みがないと勝てないという思いは強く、「これじゃダメだ」と練習で自分を追い込むことができました。もし僕の方がスパーの出来が良かったら、大塚選手との試合は勝てなかったんじゃないかと思います。先入観が生まれると、少し気が緩むことも考えられるので。  それにスパーリングと試合は全然違います。大塚選手もスパーリングでは脚を使っていたのに、実際に試合になるとファイタースタイルで来ました。試合後にシャワー室で大塚選手のトレーナーさんと少し話をしたんですが、僕が大塚選手に苦手意識を持っていたのを分かっていて、初回から出て行って、一気にペースを掴もうと考えていたそうです。でもそれ以上に僕が出て行ったから、流れを持って行かれてしまった、と。僕も最後は自信を持って、リングに上がることができたので、スパーで味わった負の記憶をプラスに変えることは十分に可能だと思います。もし自分が井上君とやるとしたら、玉砕覚悟くらいの気持ちが必要なので、2R勝負くらいの意気込みで挑むと思います。  僕もタイトルマッチを経験して、以前にも増してチャンピオンになりたいという思いが強まりました。今は何をしても楽しくないし、地元(姫路)に里帰りしようという気もなかなか起きないくらいです。チャンピオンになりたいというよりも、ならないことには始まらないと言った方が良いかもしれません。田口君は黒田選手とのタイトルマッチで1度引き分けたという点でも、今の僕と似通った境遇にありました。やっとの思いで掴んだベルト、その初防衛戦、前評判で井上君が有利と言われる中、逃げも隠れもせずに正々堂々と挑戦を受ける田口君のチャンピオンとしての姿勢には感銘を覚えます。やはり心情的には田口選手に頑張って欲しいです。  田口君が勝ってくれれば、僕とやってくれますかね?井上君が勝った場合は、おそらく2度防衛戦することはないですよね。僕が(最強後楽園を制して)指名挑戦権を獲得できたとしても、挑戦できるのは来年のチャンピオンカーニバル。だから井上君とやるのは現実的に難しいのかもしれないですけど、もし井上君がチャンピオンになったら、僕としては日本タイトルを抜きにしても、是非とも戦ってみたい。井上君と対戦できれば、モチベーションも上がるし、僕自身一回り強くなれるんじゃないかと思うんです。  実は試合当日の夜に仕事が入っていて、会場に視察に行くどころか、テレビでもリアルタイムで見る事ができそうにありません。ビデオのタイマー予約をして、帰宅後に鑑賞しようと思っているので、僕に結果を教えないで下さいね(笑)。

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  • posted by 黒井 崇貴
  • 2013/08/24 13:55

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